そのとき何が起きたのか?交通事故の状況を3Dデータ上でリアルに再現し、衝突形態や走行速度を特定したい
- 課題地域
- 山口県
- 担当部署
- 山口県警察本部 交通指導課
- 採択企業
- 株式会社シュルード設計
背景・課題
交通事故現場で得られた資料等から事故状況を特定し、視覚に訴える分かり易いデータをすばやく作成したい。そのデータを安全対策にも役立てたい。
- 現在の3Dデータ編集の問題点
- レーザースキャナーは周囲にある全ての物体を計測するため、データにノイズ(通行車やガラス面による乱反射)が多く含まれます。
- 美麗な3Dデータの作成・可視化には、技師による多大な労力と時間を要しています。(交通捜査的な観察が不可欠)
実証方法
- 従来の点群ソフトに比べ、以下の利点がある編集ソフト「Clear points」を用いる。
- 事務用PCでも閲覧可能な軽量化
- ノイズ除去・透過技術でより見やすく
- 軽量化・分割機能で容量を小さく
- 以下の機能を開発し、再生しやすく見やすい動画を出力できるかを検証します。
- 車両の直線移動機能開発
- 車両の2軸での移動および回転機能開発
- 視点移動機能開発
- 動画機能開発
検証結果
- 開発ソフトの効果
- データ編集:車両・現場道路のノイズ除去
- 従来ソフト:約5時間⇒開発ソフト:約1時間 大幅短縮
- 動画機能
- 3D空間上で再現した動画を自由視点で観察可能
- ⇒当事者目線、俯瞰視点、目撃者視点等でリアルに再現!
- データ編集:車両・現場道路のノイズ除去
- その他の意見
- 交通警察幹部の声
- 事故を動画的に再現することで、より正確な事故形態の特定に繋げられる。検事への事件説明・捜査資料として活用したい。
- システム技師の声
- 動画作成時に、実際の走行速度を考慮して再現することで、よりリアルに事故状況イメージを共有できます。
- Clearpointsは点群ソフトながらハイスペックPCが無くても綺麗な点群を操作することが可能なため、ビューワーを利用することにより関係者全員が自身のPCで点群を確認することが可能になる。
- 交通警察幹部の声
今後の展望・課題
- 参加企業から
- 動画出力やアニメーション機能の操作性向上
- 取り扱いデータの軽量化とクラウド対応
- 点群同士の迅速な干渉チェック
- 担当課から
- 機能面
- 車両挙動を完全再現できる機能の追加
(回転、シームレスなカーブ走行など) - 物理演算の反映
(衝突角度、速度等の入力数値を衝突挙動に反映)
- 車両挙動を完全再現できる機能の追加
- 活用方法
- 動画データの証拠資料化
⇒客観的資料に基づく動画生成、公判廷での活用 - 安全教育への転用
⇒リアリティある事故イメージを多角的な視点で疑似体験
- 動画データの証拠資料化
- 悲惨な交通事故が起こらない道路環境の実現へ!
- 機能面
山口県
- YAMAGUCHI PREF -
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