ナッジやゲーミフィケーションで、子どもたちの環境学習を行動変容につなげたい!
- 課題地域
- 山口県
- 担当部署
- 山口県 環境政策課
- 採択企業
- 株式会社TAGRE
背景・課題
県では、小中学校の総合学習等の授業で環境学習を実施しており、特に令和2年度からは、地球温暖化の防止に関して子どもたちに興味を持ってもらう「きっかけ」をつくるため、漫画「宇宙兄弟」やJAXAとコラボした環境学習にも取り組んできた。
省エネや節電、ごみの削減などのエコ活動について、子どもたちは「大切だと思いました」「やろうと思いました」という感想は多く寄せられたが、そこから新たに行動を起こす子どもは限定的だという声が多く、また環境学習をきっかけにどのぐらいの子どもたちがアクションを起こしたか、継続的に取り組めているのかなど把握できていないのが現状であった。
そこで、今回の実証では、
・子どもが新たに、そして継続的にエコ活動に取り組むことを後押しするシステムの開発
・環境学習効果の見える化の実現
に取り組んだ
実証方法
- オンライン学習支援Webアプリ「QuestNote」を活用した~「エコクエ」モード~
- 児童が、学校から配付された1人1台端末を使用し、ゲームの主人公としてクエスト(=課題)を進め、省エネや食品ロス等の環境問題を楽しく学び、実践する。
- 実証校
- 周防大島町立森野小学校(第5、6学年 14人)
- 美祢市立於福小学校(第5、6学年 10人)
- 山口市立白石小学校(第6学年 122人)
- クエストの一例
- お家や学校で使っている省エネ・節電機器を3つ探そう
- 冬を暖かく過ごすために、電気を使わずに出来ることを3つ考えよう
- 給食を食べる前に、食べきれる量を決めよう
検証結果
- クエスト消化率 目標:80% → 結果:83%
- 1週間後 / 2週間後の継続率
1週間ごとにクエストクリア数を計測し、1日あたりの平均値を算出する。- 1週目(1/28-2/3) : 143件
- 2週目(2/4-2/10) : 108件 1週目との比較: 76%
- 3週目(2/11-2/17): 76件 1週目との比較: 53% ( 前週比:70% )
- クエストの追加などを行わない場合、クリア件数は3週間で半減した。
- インセンティブ効果
キャンペーン開始前後の15日間の児童1人1日あたりのクエストクリア数を算出する。- キャンペーン開始前(1/26-2/9) : 12.76件
- キャンペーン開始後(2/10-2/25) : 36.96件
- コンテンツ種別によるクエストの取り組みやすさ
アンケートの結果から、児童が「わかりやすかった」と回答した割合を算出する。- 用意したコンテンツの種類:動画、四コマ漫画、パンフレット(既存の資料)
- 動画 62.0%
- 四コマ漫画 27.2%
- パンフレット 10.9%
- 新しくエコ活動を始める児童の割合
アンケートの結果から、クエストノートを契機に新しくエコ活動を始める児童の割合を算出する。- 新しく始めた:88.0%
- 始めなかった:12.0%
今後の展望・課題
- ネットワーク速度が遅い環境でも利用できるように、Webアプリの軽量化、ネイティブアプリの開発の検討
- 先生(保護者)向けの「エコクエ導入の手引き」を作成し、以下のことを明確化・見える化
- エコクエを導入することで得られる効果やゴール(学校の単元や日頃の指導を意識してロードマップとして提示)
- 操作(操作マニュアル、先生の事前操作テストの機会、エラーの報告窓口)
- 他での導入事例(児童の使っている様子、児童・先生のコメント)
- クイズへの正解や調べもので得たキーワード入力による成功判定等により、子どもたちが「より楽しく」「継続」してエコ活動できるクエストを開発
山口県
- YAMAGUCHI PREF -
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