「産業の血液」を守れ!デジタル技術、AIを活用して工業用水道施設の老朽化対策を効率化
- 締切日
- 2024/07/21(日)【募集終了】
- 課題地域
- 山口県
- 担当部署
- 山口県 企業局 総務課
- 採択企業
- 有限会社ダブリュ・オフィス
POINT
解決したい課題
工業用水道施設の多くが、今後、本格的な更新時期を迎える見込みの中、計画的・重点的な整備を推進していく必要がある一方で、対応する職員の体制やスキルの継承が課題となってくることから、精度の高い整備を効率よく行える手法が望まれる。
想定する実証実験
工業用水道施設(管路)について、AIによる施設の健全度評価、劣化予測、整備計画立案にかかるシステム構築、更新時期の最適化、見える化に取り組み、実現可能性の実証を行う。
実現したい未来
老朽化した工業用水道施設の更新、漏水の低減、施設の健全性の確保を図ることで、企業の産業インフラニーズに対応し、今後も、本県産業の中核を担う化学、鉄鋼、石油、製紙産業等の企業等に、工業用水を安定的に供給していく。
得られるもの
・開発を通じた技術力の向上
・システムの開発分野、営業分野の拡大
・他県の工業用水道事業者への展開
山口県の産業を支える工業用水道事業
山口県企業局では、瀬戸内海側で15の工業用水道事業を行い、県の産業の中核を担う化学、製鋼、石油、製紙産業等の企業等へ「産業の血液」といわれる工業用水を供給しています。
2024年3月現在、給水能力は約173万㎥/日、契約水量は約156万㎥/日(いずれも全国1位)となっており、重要な産業インフラとして本県経済の発展に大きく貢献しています。
進行する施設の老朽化
工業用水道施設の多くが建設から法定耐用年数の40年以上を経過しており、本格的な更新時期を迎えています。
このうち、管路については、県全体で約242kmの延長があり、2023年度時点で40年を経過した管路が約52%を占めていますが、2038年度には約81%と大きく増加する見通しであり、計画的、重点的に整備を進めていかなくてはいけません。
懸念される漏水事故の発生
管路の漏水事故については、これまでも発生しておりますが、直近の数年間はやや発生頻度が多くなっています。漏水が発生すると、受水企業や周辺地域へ大きな影響を与える可能性があることから、管路の健全度を適切に評価し、更新時期の最適化を図っていく必要があります。
このため、管路の健全度評価について、より効率的な実施体制を構築するとともに、評価の実効性を高めることが喫緊の課題となっています。
管路点検・評価の現状
現在、工業用水道施設の管路については、各事業所において、定期的な保守点検を実施しています。
また、経済産業省の定めたアセットマネジメント指針に基づく健全度評価を実施しています。
これは、事故危険度、通水能力、耐震度、経年化の度合いについて、管の設置時期や材質、構造、大きさ等を踏まえて点数化するもので、その点数に応じ、Ⅰ~Ⅳの4段階で更新の必要性についての評価を行っています。
さらに、埋設管については、日常的な点検が困難であることから、管の設置された土壌等の環境や過去の事故データ等を踏まえた劣化予測を行い、管路の更新時期等を専門職員が判断しています。
健全度評価の効率性・実効性を高めたい
しかし、管の設置環境等を踏まえた劣化予測を行っているものの、地中に埋設された管の劣化状況を正確に把握することは非常に難しく、専門職員の知見に頼る部分も大きいことから、効率的な評価という点で改善の余地があるのが現状となっています。
このため、管の設置環境や過去の事故データ等を踏まえたAI解析による劣化予測を取り入れることで、健全度評価の効率性向上・精度改善が期待できるのではないかと考えています。
想定しているのは、「管路の健全度評価、AI劣化予測のシステム化」
こうしたことから、工業用水道施設のうち、管路についての健全度評価、AIを活用した劣化予測について、システム化を図りたいと考えています。
また、管路の更新時期の最適化が図られるよう、整備計画の立案を支援していただけるようなシステムとなることを期待しています。
このシステムが順調に運用されれば、管路だけでなく、土木・建築施設、電機・計装設備に対象を拡大し、現場においてタブレット端末を利用して実施している点検データとの連携等、取組の範囲を広げていきたいと考えています。
私たちのチャレンジに一緒に取り組んでいただける企業を募集しています。ご応募お待ちしています。
Outline
背景 | 山口県企業局では、瀬戸内海側で15の工業用水道事業を行っており、、重要な産業インフラとして本県経済の発展に大きく貢献しているが、高度成長期に整備された隧道、管路等の土木施設、ポンプ設備等の電機設備等については老朽化が進み、本格的な更新時期を迎えている。 |
課題(詳細) | 工業用水道施設の多くが建設から法定耐用年数の40年以上を経過し、今後、本格的な更新時期を迎える見込みであり、今後、計画的・重点的な整備の推進が喫緊の課題となっているが、デジタル技術等の導入・利活用による一層の効率化・安全性の向上等を図ることが必要 |
求める解決策 | ア)AIによる工業用水道施設(管路)の健全度評価、劣化予測システムの開発 ・経産省の定めたアセットマネジメント指針(H25.3)に基づき、現在、エクセルシートにより計算している健全度評価について、効率的に評価を実施したい。 ・劣化予測については定まった手法が確立されておらず、土壌等の環境や過去の事故データ等を踏まえて職員がそれぞれ判断しているが、これまでの判断基準や客観的なデータを踏まえた予測システムを新たに開発したい。 ・台帳データ等とコネクトし、効果的な評価、予測手法を確立したい。 ・システムの対象施設は当面、管路のみ。 イ)更新時期の最適化、見える化を図った整備計画立案システムの開発 ・現在、エクセルシート上に手作業で入力している整備計画について、AIによる健全度評価、劣化予測に基づき、更新時期の最適化、見える化を図った整備計画立案システムを開発したい。 ・評価、劣化予測システムとコネクトし、効率的に計画立案を行いたい。 |
想定する実証実験内容 | ア)AIによる工業用水道施設の健全度評価、劣化予測システムの実現可能性の実証 ・健全度評価、劣化予測手法のパラメータの整理、基本的な仕様、性能等について確認し、システム開発を実施する。 イ)更新時期の最適化、見える化を図った整備計画立案システムの実現可能性の実証 最適化の考え方、方法、見える化の画面仕様等について確認し、システム開発を実施する。 |
実証実験成功後の発展性 | ・ア)イ)の2つのシステムについて、当面は管路を対象にシステム開発を行うが、成功後は、土木・建築施設、電機・計装設備に発展させたい。 ・現在、タブレット端末を用いて行っている土木・建築施設、電機・計装設備の点検データと ア)のシステムとコネクトさせたい。 ・他県の工業用水道事業者への展開が可能 |
提案企業に求める専門性 | ・デジタル技術、AI技術 ・土木施設、電機設備の点検、診断技術、維持管理技術 |
プロジェクトの進め方打合せ方法 | ・実証実験への着手前に取組内容を協議 ・打ち合わせは、対面でもオンラインでも可 |
提供可能なデータ・環境等 | ア)AIによる工業用水道施設の健全度評価、劣化予測システムの実現可能性の実証 ・経産省の定めたアセットマネジメント指針(H25.3) ・現在、エクセルシートで算出している健全度評価の書式など イ)更新時期の最適化、見える化を図った整備計画立案システムの実現可能性の実証 ・現行の整備計画書の書式など |
プログラム終了後の本格導入 | 実証の結果が良好であれば、本格導入について前向きに検討 |
山口県
- YAMAGUCHI PREF -
山口県は本州の最西端に位置し、三方が海に開かれ、東西に中国山地が走っていることから、県土の7割が中山間地域であり、少子高齢化や若者流出が大きな課題となっています。 こうした中、本県では、デジタル化は地方においてこそ、より大きな進展を果たさなければならないと考え、デジタル技術を活用して、地域が抱える様々な課題の解決や、新しい価値の創造を行い、これまでよりも豊かで安心・安全に暮らすことができる山口県の未来を目指して、本県ならではのデジタル改革を進めていきます。 https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/