「産業の血液」を守れ!デジタル技術、AIを活用して工業用水道施設の老朽化対策を効率化

- 課題地域
- 山口県
- 担当部署
- 山口県 企業局 総務課
- 採択企業
- 有限会社ダブリュ・オフィス
背景・課題
山口県の工業用水道は全国一位の規模で県経済を支えるが、管路の老朽化が進行している。2023年度時点で約52%、15年後には約81%が築40年を超え、漏水リスクや評価の効率性が課題である。専門職員の知見に頼る現状に対し、AIを活用した劣化予測導入を検討したい。その前段階として、既存図面のシェープファイル化について試行し、導入する上での課題や作業量などについて調査した。
- 健全度評価の効率性・実効性の向上:
- 定期的な保守点検を実施している。
- 更新診断を行っているが、埋設管の劣化状況の正確な把握は困難である。
- 評価が専門職員の知見に依存しており、効率的な体制となっていない。
- 今後、管路の老朽化進行に伴い、対応職員の体制や技術継承が課題となる。
実証方法
AI劣化予測システムを導入するには、管路図面がシェープファイル化されている必要がある。そこで、既存図面のシェープファイル化について試行し、導入する上での課題や作業量などについて調査した。

- ① GISデータ化する対象地区(図面)を選定、劣化予測システムの仕様の確認
- ※本実証ではPDF図面7枚をデータ化
- ② 管路図面(PDF)から、GISデータ(シェープファイル)を作成
- ③ 劣化予測システムで利用可能なデータかを検証
- →ソリューション所有企業に検証の協力を依頼
- ④ 劣化予測結果(次年度以降)

検証結果
本事業において設定した目標と結果は下記のとおり。

実証後、劣化予測ソリューションを有する事業者2社に対し、作成したシェープファイルが利用可能かどうか確認を行った結果、それぞれデータ利用が可能で、劣化予測できることを確認できた。
今後の展望・課題
- 参加企業から
- 今回のデータ作成経験に基づき、制作方法の効率化やマニュアル化を進め、より迅速かつ正確なGISデータ作成を目指す。
- 工業用水道・下水道等の老朽化は全国的な課題である。山口県をはじめとした全国の自治体の支援のため、GISデータの作成・管理・加工等のGIS技術向上に努める。
- 担当課から
- AIによる管路の健全度評価実装のため、県企業局は令和7年度当初予算に「AI管路健全度評価解析業務」として所定の経費を計上し、本格的に取り組む予定である。
- 令和7年度は、まず管路図面のデータ整備を進める。
山口県
- YAMAGUCHI PREF -

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